マージャン競技を考える第11回「卓上の核戦争」

 自分が出たいと思っているタイトル戦の予選に、ある地方都市で挑戦してきました。28人で3回戦を戦い、上位4名が4回戦進出、上位2名が本戦出場というシステムです。

 ルールは順位点が10-30という最高位戦ルールに準じるものでした。

 結果は50.3、△11.5、△33.6、計5.2で28人中12位で敗退しました。3回戦の東ラスの親番で、七対子ドラ2のリーチ(1対子カブリ)がかかっただけに悔いが残ります。

 それはさておき、自分の対局、そして4回戦の観戦を通じて競技について改めて考えさせられた1日になりました。

 まず、2回戦開始時、対戦相手の成績を知るシステムがありません。3回戦でカットというスプリントゲームなので、1回戦の成績がどうだったかというのはとても重要な情報になります。

 自分の成績を記入する用紙は配られていたので、それを見せ合うように運営サイドが促してくれれば良いのですが、自分から見せてくださいと言うのには相当勇気がいります。

 ただ、3人のうちの2人は顔なじみらしく、1回戦ラスだったとボヤき合っていたので、状況を知ることができました。1回戦がラスだと、大トップ×2回が必要になるので、ボヤくのも無理からぬことなのです。

 ちなみに、その卓は私を含め4人とも県外からの参加で、当該タイトル戦の人気を改めて知ることとなりました。

 3回戦開始前には成績を集計したペーパーが配られたので、スコアカードに記された選手番号と照合し、持ち点を確認することができました。メンバー構成は、2回戦終了時首位の女性、9位の筆者、11位の男性、26位の男性です。

 筆者と11位の男性はトップのポイント次第で充分に4回戦進出を狙えます。

 問題は26位の方が、どういうテーマで打つのか、でした。ざっくり10万点プラスのトップが必要という絶望的な状況なので、ひたすら高打点を狙うのか、それとも・・・。

 時間切れの最終局、その方は後付けで1000点を仕掛けました。満ツモ条件の女性と筆者には迷惑至極の打ち方なのですが、女性がリーチをかけ3着のまま終局。大丈夫かなと心配しましたが、なんとかトータル3位で4回戦に進出を決め、他人事ながらほっと胸を撫で下ろしたのでした。

 ここで考えたことですが、やはり2回戦であってもカットラインはあった方が良いなということでした。仮に12名カットしたとして、それでも下位は苦しいですが絶望的とまではいきません。

 しかし、競技会に参加し、たった2回で敗退してやることがないのは空しい限りではあります。そこはハウス大会を開催するなり、主催者側が工夫できるのではないでしょうか。

 タイトル獲得のための究極のディール

 話は戻りますが、ある高名なプロと「望みなし問題」について語りあったときに、どうすれば「望みなし」にならないようにできるかという話になりました。タイトル戦の決勝戦、首位者を追撃する立場の自分(親番が落ちると絶望的)、同じく追撃する対局者A(親番は自分より後)という状況。

 そのプロは、「自分の親を落としたら、Aの親も落し返すと宣言する、または翌年以降に備えて実行すれば良い」という考えを披露しました。Aさんは親が残っているので、その局で何点アガらなくてはならないというのはありません。

 しかし、それを許したら自分が「望みなし」に陥るので、ディールでそれを防ごうというわけです。

 その考え方を拡大解釈すると、来年以降立場が逆でも相手の親番は蹴らない。さらには、テンパイのために食わせてでも親番を守ってあげるということにまでなりそうです。

 なにか、核戦争の話みたいですが、タイトル戦で勝つことを真剣に突き詰めるとこういうところに行きつくのでしょうか・・・。

 翻って、筆者が26位氏に「大人しくしていてくださいよ。でないと、今度どこかで逆の立場のときに報復の嫌がらせをしますよ」と言ったらどうなったのでしょうか。

 東京の人間と当たることなどない、と軽く無視されて終わるようにも思えますが、こういう余計なことを考えないで済むように、システムをさらにブラッシュアップする必要があると思料する次第なのです。