<麻雀競技>を考える基本として、博打から切り離した<競技>にすべきと考えるのはごく普通の話でしょう。
にもかかわらず<麻雀競技>にサイコロを使用している現状は悲しむべきものがあります。
ネット麻雀でさえ、画面上でサイコロが回っているケースもあり、誠に由々しき問題と言えるのではないでしょうか。
プロのリアル<麻雀競技>において、サイコロを使用する代表例は、配牌の取り出しでしょう。この問題については初回の稿で書かせていただきましたので、今回は、「場所決め」と「親決め」についてピックアップしておきたいと思います。
現行の「場所決め」
その1 もっともポピュラーな決め方ですが、風牌4種それぞれ1枚ずつと、を1枚ずつ用意し、すべて伏せ牌にしてよく混ぜます。
よく混ぜた6枚を伏せたまま横一列にし、混ぜた人の向かいに座っている人がサイコロを振ります。
1度振りで「場所決め」をする場合は、サイコロが振られたら、混ぜた人が伏せられていた6枚を表にし、とを自然な形で両端に並べ直します。
(例) →
(編注:より端に近い数牌をその端に移動させ、もう1方を逆側に移動させる)
サイコロの目が8の場合、その出た目の8の人が座っている所に起家マークを置き、そこにを引いた人が座ります。残りは右回りに南西北と席次が決まります。
そしてサイコロの目が8でしたから、8は偶数なのでが置かれている側のを8の目に当たった人が取り出し、あとは右回りに、と取っていき、側にあるを8の目に当たった人の左に座っている人が最後に取っていくという段取りになっているのです。
これが2度サイコロを振って「場所決め」をする慣例に従うと、
6枚を裏返しにして混ぜた人の向かいに座っている人が1度目のサイコロを振ります。
そしてその出た目が6でしたら、サイコロを振った人の右手の人が6の位置に当たり、そこに起家マークを置きます。
起家マークを置かれた人が2度目のサイコロを振ります。その目がたとえば7であれば、そのとき6枚裏返しにして混ぜた人が伏せられた6枚を表に開けます。
1度振りのときと同じように、開けられたとを自然な形で両端に並べ直します。
(例) →
2度目のサイコロで出た目が7なので、起家マークが置かれた人の向かい側に座っている人がおもむろに側に手を伸ばし(なぜなら7は奇数だから)右端のを取り出します。あとは右回りに、取っていきます。そして起家マークの置かれた場所にを引いた人が座り、あとは順次右回りにを取り出した人が座っていけばいいのです。
その2 一般の遊戯麻雀で採用されていることが多い「掴み取り」という場所決めの方法について
1枚ずつを伏せてシャッフルし、混ぜた人以外の人たちが好きな牌を1枚ずつ引いていきます。
そしてを引いた人が好きな場所を選び、あとは順次右回りにを取り出した人が座っていくという、とてもわかりやすい「場所決め」のやり方です。
場所が決まると今度は「親決め」に移りますが、これもサイコロを使用します。
1度振りでも2度振りでも、東の場所に座った人がサイコロを振ります。
1度振りの場合には、そのサイコロの出た目の人が起家になります。
2度振りの場合には、1度目に出た人が2度目のサイコロを振り、その出た目の人が起家になります。
「場所決め」にしても「親決め」にしても、2度振りよりも1度振りのほうが簡単で覚えやすいのですが、各競技組織(プロ組織)の伝統に従って、2度振りを採用しているところがいまだ多いようです。
ただ、やはり<麻雀競技>を整備していくのであれば、「場所決め」「親決め」にサイコロは不要だと考えます。ではどんな方法で「場所決め」「親決め」をすればよいのか?
その答えは案外簡単です。
まずは同一メンバーで1日4回戦の対局を行う場合。
1回戦 2回戦 3回戦 4回戦
Aさん 東 家 南 家 西 家 北 家
Bさん 南 家 西 家 北 家 東 家
Cさん 西 家 北 家 東 家 南 家
Dさん 北 家 東 家 南 家 西 家
このように予め決めておけばよいのです。
東家とは起家のことになりますから、4回戦中の有利不利はさほど生じませんし、サイコロを振って決める際の偏りも起こらないものになっています。
次に8卓32名で行う4回戦の場合には、次のような対戦表があれば事足りるのではないでしょうか。
1回戦 東 家 南 家 西 家 北 家
A 卓 1 9 17 25
B 卓 2 10 18 26
C 卓 3 11 19 27
D 卓 4 12 20 28
E 卓 5 13 21 29
F 卓 6 14 22 30
G 卓 7 15 23 31
H 卓 8 16 24 32
2回戦 東 家 南 家 西 家 北 家
A 卓 21 27 1 15
B 卓 22 28 2 16
C 卓 23 29 3 9
D 卓 24 30 4 10
E 卓 17 31 5 11
F 卓 18 32 6 12
G 卓 19 25 7 13
H 卓 20 26 8 14
3回戦 東 家 南 家 西 家 北 家
A 卓 16 23 30 1
B 卓 9 24 31 2
C 卓 10 17 32 3
D 卓 11 18 25 4
E 卓 12 19 26 5
F 卓 13 20 27 6
G 卓 14 21 28 7
H 卓 15 22 29 8
4回戦 東 家 南 家 西 家 北 家
A 卓 32 1 14 19
B 卓 25 2 15 20
C 卓 26 3 16 21
D 卓 27 4 9 22
E 卓 28 5 10 23
F 卓 29 6 11 24
G 卓 30 7 12 17
H 卓 31 8 13 18
(1~32は任意の選手番号)
サイコロを使わないほうが、むしろスムーズに<麻雀競技>が運営できるのでは? と思われた方も多いのではないでしょうか。
<麻雀競技>における「サイコロの不使用」は喫緊の課題です。
配牌の取り出しはもちろんのこと、「場所決め」「親決め」にサイコロを使用しない組織が増えてくれることを望みます。