佐藤崇の第35期最高位決定戦自戦記②

南2局、3巡目。

二萬三萬三萬四萬五萬九萬九萬三筒四筒五筒七索八索九索 ドラ九萬

誰がどう打ってもこのテンパイこのリーチ。5巡目に親の水巻から追っかけリーチが入るも、そこから満貫の出アガリ。
2着争いからも抜け出し、飯田とのトップ争いへ。

南3局。

この局は、対局が終わった後の酒の席でも話題になった。

『この局さあ…飯田さん、リーチするんだね!』

『ねー!これ俺もビックリしたわー。あの河でトップ目で九筒ワンチャンスでしょ?まあ、らしいと言えばらしいけど…』

『そうそう!これさあ、飯田さんリーチ来なきゃ俺多分すぐに打ってんだよね。結果論じゃなくてあれヤミテンにすんじゃね?』

声の主はそれぞれ私と村上、水巻である。これを読んでいる皆さんは不思議に思われるかもしれないが、今回の決定戦シリーズの期間中、我々は毎回対局終了後に酒を酌み交わした。
その日のうちに出来上がった全体譜をつまみに、互いにあれやこれやと討論を交わすのだ。

最高位を賭けた勝負期間中であるにも関わらず。

飯田さんは一度も同席しなかったが、そこは昭和の打ち手であって、至極当たり前の事でもあろう。

不謹慎だとか、緊張感がないだとか、理解できないだとか、そう感じる人もいるだろう。

しかしその点はご安心を。対局中は情など微塵もかけないし、正真正銘ガチンコの真剣勝負である。

将棋のプロ棋士も終わった直後に感想戦をしているのだ。
互いに雀風は知り尽くしている。今更手の内を隠すだの、作戦があるだの、奥の手があるだの、そんなものはこの3人にはない。

いい作品を4人で作り、そして最後には俺が勝つ…!!

あるのはこの思いだけだ。

話をこの局に戻そう。

東家佐藤 42100
南家村上 16000
西家飯田 45500
北家水巻 16400

焦点はトップ争いとラス争い。苦しい手牌ながらも追う立場として気楽な私は

五萬三筒五筒八筒九筒三索四索七索七索西西中中 ドラ五萬

ここから中をポンして打八筒。この鳴きで好牌を引き込んだ飯田が12巡目にリーチ宣言。
捨て牌模様から、上の3色形は容易に察しがつく。なのでリーチ宣言牌で放銃した村上も納得であろうが…
単純に跳満を引きに行った姿勢なのか、今回の作戦の内なのか。しかしここはやはり確実に九筒を獲りに行くヤミテンが正着ではないか。

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